自由という土021わが国の窯業史を築いて常滑の窯業は平安時代末期にすでに始まり、写経を納める宗教容器なども多く産んでいます。鎌倉時代になると、素朴で力感のある壺や甕などの大物が産まれ、一大陶産地に成長します。古くは知多半島全域で焼物が生産され、焼成の燃料となる雑木は刈り尽くされたほどといわれます。室町時代になり、知多半島全域に広がっていた窯は旧常滑町周辺にあつまってきて集落に近い丘陵斜面に築かれていくようになります。現代の常滑焼の原風景です。信楽焼、備前焼をはじめ、日本古来の陶磁器窯のうち中世から現在まで生産がつづく代表的な六つの窯が「日本六古窯」と総称されています。そのひとつに挙げられる常滑焼は六つのなかでも最大の規模として今に受け継がれています。
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